シリーズ構成・山崎莉乃 メールインタビュー
第6話は作品全体でも、とても大切なお話だと思っていました
――初めに山崎さんがシリーズ構成として、本作に参加することが決まった際のご心境から聞かせてください。
- 山崎
- 本作の監督である黒木さんとは『明日ちゃんのセーラー服』で組ませていただいたことがあり、またご一緒できる機会があればと思っていたので、座組を聞いて、嬉しかったですね。黒木さんはキャラクターの心情の描き方や、原作に対しての取り組み方がとても真摯な方なので、本作の雰囲気にもマッチしてますし、必ず良い作品になるだろうなと思いました。
――TVアニメ化にあたって、ご自身はどんなことを大切にしたい、こだわりたいと考えましたか?
- 山崎
- 最初は作品の空気感から女性ファンが多い印象でしたが、男性ファンも大勢いらっしゃることを知りました。アニメの現場にも原作ファンの男性がいたので、印象的なエピソードやキャラクターのどういうところが好きなのかなどを質問させてもらったり、連載サイトの読者のコメントも時折チェックしました。アニメは限られた本数や尺の中でお話を完結させなければならないのですが、アニメ化を楽しみにしている方の期待を裏切らないようにしたいと心がけていましたね。
――シナリオ会議を振り返りながら、特に印象に残っているシーンをお教えください。
- 山崎
- 最初の打ち合わせの時から、監督とは「ここまでアニメでやりたい」という意見は一致していたので、全体構成を決めるのは比較的スムーズでした。印象に残っているのは、第1話のアバンでしょうか。お嬢様校の桔梗とバカ校の千鳥。それぞれの学校の空気感を冒頭に入れたいと思っていたので、桔梗の合唱『春に』と相まって、映像化ならではの雰囲気が作れたかなと。「この気持ちはなんだろう?」という歌詞は、本読みの段階では想定していなかったのですが、これからの物語を予感させるいいフレーズだなと思いました。
――そのほかにあった制作裏話は?
- 山崎
- 脚本のチェックバックの際、先生からの直し箇所だけじゃなく、良かったところのコメントも担当編集さんが伝えてくださっていました。アニメの現場に気を配ってくださっているのが伝わりましたし、先生のお人柄の良さにいつも感謝していました。
――放送直後となる第6話は、どんなお話になっているでしょう?
- 山崎
- 第6話は、作品全体においてもとても大切なお話だと思っていたので、原作の雰囲気をなるべく壊さないように意識しました。昴はずっと、薫子のことをヒーローだと思っていた。けど、気づかないところで薫子も昴に救われていたんだと分かる。互いに思い合うふたりの関係が尊くて、素敵なエピソードです。
今後深まっていく千鳥4人組の関係性にも注目
――物語の中心となる紬凛太郎、和栗薫子の魅力・人物像、また、ふたりの関係性において素敵だなと感じるところを教えてください。
- 山崎
- 凛太郎と薫子に限った話ではありませんが、登場人物たちが自分の気持ちをストレートに相手に伝える力があるのが、本作の魅力だと思います。言葉にしないと伝わらないことってあると思うのですが、なかなか口に出すのが恥ずかしかったり、躊躇してしまうことも多いですよね。でも、薫子は自然に言葉をかけてあげられる子で、そんな薫子と出会い、不器用ながらも変わっていく凛太郎の成長は、これからも目が離せないですね。
――本作はふたりの関係性だけでなく、友情や家族愛も取り上げられているところが見どころかと思います。ふたりの恋模様以外で注目してほしいポイントをあえてひとつあげるとしたら、どこでしょう?
- 山崎
- ひとつ……というのが難しいですが、しいてあげるなら、千鳥の4人組でしょうか。過去にトラウマを抱えていた凛太郎は、仲の良い友人にですら、本当の意味で心を開けていません。物語が進むに連れて、この4人の関係性も深くなっていくので、注目してもらえたらと思います。青春っていいな……と、思っていただけるかと!
――ちなみにシリーズ構成として動かしやすかったキャラクターや、個人的に好きだなと思うキャラクターは?
- 山崎
- 動かしやすいという点では、翔平でしょうか。明るく元気で、その場のどんな空気も一瞬で変えることができるので、きっかけ作りには彼を頼ってしまいます(笑)。翔平がいたら、学校生活も楽しいでしょうね。また、どのキャラクターも本当に魅力的なので一番を選ぶのは難しいですが、息子のことを大切に思う杏子さんには、グッときてしまいます。このあたりも今後描かれる予定なので、楽しみにしていただけたら嬉しいです。
――最後にご自身が思う『薫る花』の魅力と共に、ファン&視聴者の方々へメッセージをお願いします。
- 山崎
- 登場人物の言動一つ一つが大人の私の心にも響いて、前を向かせてくれる作品だと思います。眩しいくらいの青春に羨ましくなることもありますが、凛太郎と薫子が今度どうなっていくのか? ドキドキしながら、温かく見守ってくださると嬉しいです。引き続き、アニメ『薫る花は凜と咲く』を楽しんでいただければと思います!